高田修三の空想科学雑談

高田修三が、幾分か科学的に、好き勝手空想する。

天才と天災は紙一重 「ES エス」 惣領 冬実

遺伝子操作され、研究所で誕生した人間「シュロ」


そして「イザク」。

他者の意識に瞬時に侵入し都合よく変えられる特殊な能力を活かし、
それぞれ社会で暮らしはじめるが、人間に対する復讐心に燃える「イザク」はその能力を使い、殺人を繰り返す。
元研究所員は「イザク」を処分するため、「シュロ」に助けを求めるが、初めは自分には関係ないと無視されてしまう
脳生理学の研究員の女性の 九條 のもとに「イザク」が起こした事件の分析が依頼される

そしてこの女性と接することで、「シュロ」の心に変化をもたらしていく・・・

惣領 冬実の作品は「チェーザレ」もそうだけど絵がいい。
実に現代的で緻密でクールな絵柄だ。
作者は1959年生まれだそうだが、とてもそんなに昔の人とは思えない(失礼!惣領先生)

この作品のミソになるのが、人々の精神世界だが、それを表現する描写力はさすがといったところが
人の悩み、憎しみ、嫉妬、それらが十分に表現されている。
こういうのが漫画のいいところだよね。
小説だと自分で想像しないといけないから、なかなか世界観が伝わらないと思う

「シュロ」は秋庭というおじいちゃんの意識を操作して、孫になりすましていたのだが、やがておじいちゃんはなくなる
そして葬式のときに、いつもクールだったあの「シュロ」涙を流すのだ
こっちも涙流しそうになったよ (´;ω;`)
この心情の変化をもたらしたのが、おじいちゃんであり、九條という女性だった。

この物語は決して、ただの超人と一般人との戦いを描いた陳腐な話ではない
心温まるエピソードや、人間の細やかな内面描写などが特徴的だ。

ラストのほうでは「イザク」が世界を滅ぼそうとする。
そしてそれを止めようとする「シュロ」
天才同士の戦い。これはある意味「デスノート」を連想させるかも
しかし人の能力って、使い方によっては、とんでもない結果にも当然なってしまうんだよなあ
天才と天災は紙一重だ

さあラストはどうなるのか、最後まで気の抜けないストーリで間違いなく傑作だ。

ES (1) (モーニングKC (801))

ES (1) (モーニングKC (801))