高田修三の空想科学雑談

高田修三が、幾分か科学的に、好き勝手空想する。

地球へ… 竹宮惠子

間違いなくSF漫画の傑作と言っていい作品だろう
この作品は1977年から1980年にかけて描かれた作品だと言うのが、ほとんど古さを感じさせない。これだけ経年に耐えうるSF漫画家はいるだろうか?萩尾望都くらいしかちょっと思い浮かばない。

ストーリーは、普通の人類と、超能力を持った人類とが戦いになり、そして遠い昔かつての故郷であった地球への旅を始めるのだった・・・

超能力や宇宙というとSFでは出しつくされた感がある設定であるが、綿密に創り上げられたストーリーのおかげで飽きさせない。

それにしてもこの画風にこのストーリーありと言う感じである。
SFと言うのは映像化が難しいジャンルである。
だからSF小説は結構沢山あるけど、漫画やアニメや映画となると数は減っているように思える。
例えば映画スターウォーズは、監督が1983年に『ジェダイの帰還』を作成した後は、自分の想像する世界を表現できないとして制作を中断。1993年のスティーヴン・スピルバーグの映画『ジュラシック・パーク』におけるCGの技術革新を見て、続編を作ることにした
またアーサー・C・クラーク原作の映画「2001年宇宙の旅」では、スタンリーキューブリック監督は「神」を映像化しようとしたが断念している。

しかしこの「地球へ・・・」はその世界観を絵で見事に描き出している。
この功績は本当に大きい。

SFは映像化が難しいと言ったが、それは読者の頭の中で映像化するのも難しいという意味でもある。
ウィリアムギブソンの小説「ニューロマンサー」なんかは、アニメ「攻殻機動隊」や映画「マトリックス」を見て「サイバーパンク」という概念を、あらかじめ頭に入れていないと、理解できないと思う。

絵で世界観を表現できるの漫画の良さだと改めて認識させられた。
漫画でなければ、ここまで壮大な印象は受けなかっただろうし、この複雑なストーリーもこんなにあっさり理解できなかっただろう

「漫画なんて」とバカにしている人にこそぜひ読んでもらいたい。
その壮大さに驚かされるだろう。

地球へ… 1 (Gファンタジーコミックススーパー)

地球へ… 1 (Gファンタジーコミックススーパー)

地球へ… 2 (Gファンタジーコミックススーパー)

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地球(テラ)へ… (3) (中公文庫―コミック版)

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