恐るべき「因果律」を垣間見る 「ベルセルク 1〜3巻 欲望の守護天使」 三浦健太郎
日本を代表とするダークファンタジーそれがベルセルク
圧倒的な世界観が特徴であり、その世界観を支える屋台骨が「因果律」と呼ばれるものだ
今回書評する「欲望の守護天使」編は、その壮大なる因果律の一端を垣間見ることになる。
主人公ガッツがたどり着いた町は、恐るべき伯爵のもとで支配されていた。
その伯爵は「邪教徒狩り」の名の元に、次々と領民を処刑していく。
伯爵が残虐になった理由は「ベヘリット」と呼ばれる卵形の謎の物体が原因だった
その伯爵に戦いを挑むガッツ
激戦の末に何とか勝利する。
しかし伯爵は死んでおらず、彼のすさまじい生への渇望が、ベヘリットと共鳴し、異次元空間が開かれる
そして「五人のゴットハンド」が降臨する
ゴッドハンド達は、伯爵にもし生きたければ、自身の娘を生贄にせよと提案する。
しかし伯爵は最後まで、娘を生贄にするかの判断がつかず、命が尽きてしまう・・・
さてこの漫画で表現される因果律とは何なのだろうか?
まず因果律は運命の一種といえる。
伯爵がベヘリットと共鳴し、残酷になったのは、ある恐るべき出来事がきっかけだったが、それさえ因果律の輪の中だった。
どんな非現実的なことも、それはすべて因果律によって貫かれているのだ。
そしてその因果律から逃れ戦いもがく者がガッツなのだ。
そして因果律は、物理と精神の両面がない交ぜになっているものでもある。
ベヘリットという「物」と人間の渇望という「精神が」合わさって「異次元空間」が開かれる。
そして渇望した者は、「人間を超越したもの」に変身する。
変身してしまったものは、強い力を手に入れ、普段は人間の形をしているが、戦闘の時などは自身の形を変えることができる。
これは物理的な変化だ。
しかしこの物理的な変化の原動力は物理的なものではなく、人間の渇望という精神的なものだ。
精神的な力が、物理的な力に変換されるものとしてよく出てくるのが「魔法」だろう
その点で因果律も、魔法を生じさせる法則のひとつと言えるかもしれない。
ベルセルクという壮大な世界観を構成する因果律
この因果律へのガッツの挑戦こそが、ベルセルクという物語の中核なのだ。
ガッツの挑戦はまだまだ続く・・・
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