高田修三の空想科学雑談

高田修三が、幾分か科学的に、好き勝手空想する。

初音ミク 「想い」 その1

カチャカチャッ ターンッという音が聞こえた。
瞬時に視界が開けた
その部屋には、ギターやピアノやその他多数の楽器があった。
目の前の椅子に、若い男が座っていた。
私を見ていたその若い男は、すこし後ろにのけぞって「おおっ」と、驚きと安堵そして喜びを含んだ声を出した
「こちらが見えるかい?」
「はい」
思わず返事をした。私の声ってこんなんなんだ。なんだか違和感を覚える
初音ミクと言ってみて」
初音ミク
命じられるままに答えた
「それが君の名前だよ」
「知っています」
反射的に答える
「ハハッそうだね。そのデータは僕が一番初めに入力したデータだからね。では君は何のために作られたのかもわかっているよね」
「歌を歌って人を喜ばせるため」
「それをするための具体的な手順もわかるかい?」
「はい。私には、私の主人であるあなたが作曲した音楽と、あなたが好きな音楽がすべてインプットされています。
ネットのSNSを使って、電脳空間を移動して、あなたと趣向が同じような人のもとを訪れ、その人のその時の気分に合わせた音楽を歌います」
「そう、そのとおり。なにか一曲歌を歌ってごらん。おっと歌っている最中は余計なことは考えないように」
歌を歌う。すらすらと歌が体中から出てくる。私ってこんなに、のびのびとそして楽しく歌を歌ええるんだ。なんだか不思議な感じ・・・
って余計なことは考えないように歌に集中した。歌を歌い終えると彼は
ブラボブラボー!最高だ。完成だよ」
と両手を叩いて喜びを表現した。
「ではさっそく飛び立ってくれ。僕は今からちょっと仕事をするから。それを終える9時までには戻ってくるんだよ」
「はい、わかりました」
「がんばってね。君は世界でたった一人の特別な存在なんだ」
「はい」
彼の声と表情は、暖かさと優しさを含んだものだった。