高田修三の空想科学雑談

高田修三が、幾分か科学的に、好き勝手空想する。

SFと哲学って密接に結びついていない? 「素晴らしい新世界」 ハクスリー

幸福って何だろうと考えさせられる一冊であった。

物語は未来を想像して描かれたものであるが、なんとこの作品は1932年に書かれたものであるという。とてもそんなに昔に書かれたとは思えないほど、様々な技術が描かれている。

人間は受精卵の段階から培養ビンの中で「製造」され「選別」される。
そして胎児の成長している段階から、、わざと酸素を送る量を減らしたり、血液にアルコールを少しだけ混入するなどして、知能と身体機能を下げられて、知識階級と下層階級とに分けられるようにされる。
生まれたあとは、睡眠時教育で自らの「階級」と「環境」に全く疑問を持たないように教え込まれ
不快な気分になったときは「ソーマ」と呼ばれる薬で「楽しい気分」になる

一見完璧でに幸せそうな世界に見えるが、「野蛮地区」と呼ばれる場所に住んでいる人間の中に、この世界に疑問を持つ人間が出て、状況に変化が起きていく・・・・

幸せってなんだろう?
下層階級という存在の上に成り立つのも幸せなのだろうか?
薬のよって与えられる幸福感も本当の幸せなのだろうか?
現在の世界に疑問を持つことは「幸せ」を壊すことなのだろうか?
何もかもが完璧に計画されて、予想外のことが起きない世界が幸せなのだろうか?確かに我々は、物事を順序よく計画通りにしようと常に欲しているが・・・

この本の最後の方の、上流階級の代表格であるムスタファモンドと、下層階級でありながら聡明なジョン、サヴェジとの会話が実に、考えさせられる内容であり見事だった。

幸せって何か?一度疑問に感じた人はこの本を読んでみるといいのではないのだろうか?

すばらしい新世界 (講談社文庫)

すばらしい新世界 (講談社文庫)