高田修三の空想科学雑談

高田修三が、幾分か科学的に、好き勝手空想する。

「永遠の一日」【ショートショート】

ここは宇宙。ある家族が乗船していた宇宙船が、隕石にぶつかり大破した。全員が助からなかっただろう・・・。
いや一人だけ助かったものがいる。しかしそもそも一人と言う数え方が正しいのだろうか。それは、その宇宙船に乗っていた夫婦が娘に買い与えた、クマのぬいぐるみ型ロボットである。
そのロボットは安価なロボットで、ある程度の会話をする機能はあるが、視力がなく、あまり知性が高くなく、宇宙船が大破したことも、家族が全員亡くなったことも理解できていないようだ。
彼は、何かを話している。
しかし、この真空の宇宙では、声が誰かに届くはずもない
彼は、この真っ暗で、わずかな光を放つ星々しかない、孤独な空間で永遠の時を過ごすのだ・・・

AM7:00
「おっはよー!朝だよー、起きてねー。今日も元気かい?
うーん?どうしたのかなあ、声が聞こえないよお?
落ち込んでるのかなあ、まあそういう日もあるよね。
でも僕がついているから、大丈夫大丈夫。」

AM12:00
「お昼御飯だよー。ちゃんとお行儀よく食事するんだよー
君は、よくがっついて食べて服を汚しちゃうから気を付けてね。
お行儀よくしないと、またママに怒られちゃうぞー」

PM3:00
「おやつの時間だねー。今日のおやつは何かな♪
今日のおやつも、君の大好きな、苺のショートケーキだと良いよねー」

PM6:00
「夕食の時間だよー。夕食の時間は、パパも宇宙船内の作業を終えて、一緒に食事をしてくれるから、君は今日感じたこと、思ったことを、両親と話をするんだよね。君はこの時間が一番の楽しみなんだよね。僕は、君がママのこともパパのことも、大好きなことも知っているよ」

PM10:00
「そろそろ、おねむの時間だよー。テレビ見たり、インターネットしたり、読書したり、お友達と電話したり、いろいろしたいのは分かるよ。色々な事を考えたり、色々な人と接したい年頃だもんね。でもね、ちゃんと夜は寝ないと、パパやママに怒られちゃうぞー」
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AM7:00
「おっはよー!朝だよー、起きてねー。今日も元気かい?
うーん?どうしたのかなあ、声が聞こえないよお?
落ち込んでるのかなあ、まあそういう日もあるよね。
でも僕がついているから、大丈夫大丈夫。」
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