高田修三の空想科学雑談

高田修三が、幾分か科学的に、好き勝手空想する。

若者よ 将来が不安ならSFを読め

今の若者の多くが老後が不安だという。
僕も若者だし、その気持ちはよくわかる。

今の年金制度は現代の若者が現代の老人を支えるという制度だ。
そして現代の若者が老人になるころには、将来の若者に支えてもらう。
しかしこの制度は、少子高齢化の日本社会では、将来もたないのではないかと言われている。
だから、今の日本の若者は負担だけを押し付けられて、将来は年金はどうなるかわからない
夢も希望も抱けないではないか。そんな風潮が蔓延している。

しかし僕はそんな風潮に対して全く別の視点を提案したい。

それは、未来の世界では科学技術が発達して、年金などという瑣末な問題はことごとく解消されているという可能性があるということだ。

つい先日、京都大学山中伸弥教授がノーベル医学・生理学賞を受賞した。
iPS細胞に関する研究の功績が認められたからだ。
このニュースを聞いて、日本の科学技術もまだまだ捨てたもんじゃないなあと思った。

人間には凄まじいまでの想像力があり、そしてそれに対になるように、その想像した技術や世界を実現する力も持っていると、僕は信じている。もちろんそれを実現するまでの時差はあるが。

SFを見てみよう。これらの作品では、

ロボットが人間の労働をすべて肩代わりをして、人間は余暇だけを楽しむ世界
バイオ技術が発達して、病気や老化がなく、肉体を好きなように創り出せる世界
何か苦しいことがあったら、薬を飲めば気分が瞬く間に改善される世界

等というのは、とっくの昔に予見されている

最近では、超高性能のコンピューター上で、人間を含むすべての宇宙が再生されて、人間は肉体から自由になり、永遠の命を得る、などというアイデアまで出ている。

あなたにはこれらの技術や世界は、荒唐無稽な空想物だと思うだろうか?

僕はそうは思わない。もちろんSF作家の予言で外れるものもたくさんあるだろう。
しかし実際に実現されたものもたくさんある。
その最たる例がコンピューターだろう。
コンピューターは、昔はすごく大きくて高価で、とても扱いにくかった。
使っているのは、軍か研究所くらいだった
こんなものが、一般家庭に普及して、生活に欠かせないものになるなどということは、当時の普通の人たちは想像もできなかっただろう。
しかしSF作家の多くはそういう世界を予見していた。そしてそれは実現した。
もっと具体的な例をあげるなら、タッチパネルやジェスチャーでコンピューターを操作する技術だ。
最近になってやっと実用化されてきたが、しかしこれは、フィリップ・K・ディックという作家によって既に予見されていた。
彼はなんと1928年生まれである!こんな昔の人がこんな最新技術を想像していたのである。

若者が将来を不安がっているという話に戻そう。
前述したように、その気持ちはよくわかる。
しかし僕は、あまり未来に関しては悲観してはいない。
くどいようだが、人間には想像力があり、それを実現する力を持っている。
それは今までの歴史が証明しているではないか(もちろん悲惨な例もたくさんあるが)

1990年以降に生まれた若者が65歳になるのは、2055年以降である。
これは、はるか向こうの未来である。
これだけの時間があれば、人間は一体どれだけのアイデアを出し、技術を発展させるのだろうか?今の凡人の我々には、全く思いつかないような世界が待っているのではないだろうか?
こういう考え方をすれば、将来に対してワクワクする感情を抱けるのではないのだろうか?

たまにはSFでも読んで、発想の転換でもしてみてはいかがだろうか?

マイノリティ・リポート―ディック作品集 (ハヤカワ文庫SF)

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祈りの海 (ハヤカワ文庫SF)

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